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焦点距離2倍で f値も2倍絞りを絞り込んで光の通過する面積を半分にしたら、f値
が大きくなる(この場合、面積が半分だから直径は 1 / 1.4 = 0.71、f値は 1.4 倍) のは直感で分かると思うのです。(f値が大きいほど暗い、光の通る面積を半分にしたのだから 半分の暗さになるのは当然ですね。) さて、上記のf値の式からすると焦点距離を2倍にすると、f値も2倍になって 数値上暗くなってしまいます。分子が2倍になるのだから、計算上は当たり前の様な気がしますが よーく考えると、不思議じゃないでしょうか。 光軸上の無限遠からの点が像を結ぶ様子を見てみましょう。
この図をみると、焦点距離を伸ばした方が光りをたくさん採り入れる様な気がしませんか?
でも、実際は違います。 これは、カメラとレンズの状態を完全に外側から観察しているから分かる事で、レンズの 内側で光りを記録している CCD の立場でみると、状況は変わってきます。 まず、CCD はレンズを通してやってくる光が屈折してやってきた光であることを知り得ません。 従って、レンズを通して入ってくる光の円錐は、レンズの外側も円錐としてつながっている ように見えるのです。(CCD からするとレンズの存在さえ気づきません。) 以下の図のような感じです。
この円錐のなかの光は全部、一点の像を結ぶために、光軸上の一点を目指して真っ直ぐに 飛んでくるようにみえるのです。 ここで、光の速さについて考えてみましょう。一秒で地球を七周半する、という話を 聞いたことがあるとおもいますが、光は基本的に曲がりません。秒速30万キロで直線に 進んでいきます。(強力な重力源があると曲がることもありますが、相対性理論のレベルの 話なので無視します。)
ここで、1/3000 秒の高速シャッタースピードを切ったとしてみましょう。どのくらい先の ひかりまで CCD に届くでしょうか。100km 先の光までやってきますね。 つまり、CCD にしてみると、高さ 100km の円錐内の光が、像を結ぶために真っ直ぐに 飛んでくるように見えるわけです。(実際には、光源からの光を反射した光が次々と レンズに向かってやってきて、レンズで屈折して一点へと集光されるのですが。) すると、レンズの焦点距離を倍にすると、レンズ径が同じならば
のようになりますが、その先の円錐を視野にいれて考えると
のようになります。実際には、円錐の頂点の所に、数センチから数十センチのズレがありますが、
100km の円錐を考える場合無視してかまいません。 つまり、一つ上の図でも分かる通り、焦点距離を伸ばした場合、円錐の頂角が狭くなるのです。 残念ながら、三角関数の計算になるので(この場合は tanθ)絞りの直径を半分にしても 角度が半分になるわけではないのですが、運良く、この場合角度は必要ありません。 さらに、焦点距離を倍にした場合、半分になるのはレンズの径(あるいは絞りの径)なので その面積は四分の一になります。 中学生の数学を思い出しましょう。円錐の体積はどう求めるのだったでしょうか?
でしたね。 四分の一の暗さになるわけですから、f値も2倍(大きい方が暗く、f値が2倍なら 明るさは四分の一)になりますね。 つまり、焦点距離が倍になると、f値も倍になるのです。 |